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ブロードリーフはSaaS型モビリティ産業向けクラウドサービスの開発、提供を事業としている企業でプライム市場に上場しています。直近では株主優待制度を廃止するなど、投資家からの注目を集めています。
そんなブロードリーフですが、株価や業績についての口コミには、嘘か本当か真偽不明なものが多く寄せられていますので、そのような口コミをピックアップし、徹底検証していきます。
目次
ブロードリーフってどんな会社?事業内容は?
プライム上場企業とはいえ馴染みのない方もいらっしゃるかと思いますので、まずはブロードリーフの会社概要について簡単にご説明いたします。
会社概要
ブロードリーフはプライム上場企業で、SaaS型モビリティ産業向けクラウドサービスを開発・提供しています。2023年12月末時点で従業員数935人、資本金7,148百万円の大企業であり、ブロードリーフの事業はお客さまの事業創造に貢献しています。
詳細な会社概要は以下にまとめて記載しています。
社名 | 株式会社ブロードリーフ Broadleaf Co., Ltd. |
---|---|
本社所在地 | 東京都品川区東品川四丁目13-14 グラスキューブ品川 8階 |
電話番号 | 03-5781-3100(代表) |
代表者 | 大山堅司 |
創業 / 設立 | 2005年(平成17年)12月 / 2009(平成21年)年9月 |
資本金(連結) | 7,148百万円(2023年12月末現在) |
上場証券取引所 | 東京証券取引所 プライム市場(3673) |
従業員数(連結) | 935人(2023年12月末現在) |
事業内容 | SaaS型モビリティ産業向けクラウドサービスの開発、提供 |
拠点 | 営業・サポートネットワーク:全国26拠点 |
開発 | 全国 3拠点 |
会計監査人 | あずさ監査法人 |
事業内容
ブロードリーフは、SaaS(Software as a Service)やマーケットプレイスなどの企業向けクラウドサービスを展開しています。これらのクラウドサービスにより、顧客に対し、経営環境の変化をビジネスチャンスへと導くITソリューションの提案を行なっています。
SaaSやマーケットプレイスなどのクラウドサービスは、カーディーラーや自動車整備業車などのモビリティ産業の事業者向けに提供されています。また、モビリティ産業以外の事業者向けに業種別業務システムや作業分析ソフトウェアといったパッケージシステムの販売を行っています。
ブロードリーフの業績について
ここまでブロードリーフの会社概要や事業内容について簡単に説明してきましたので、次にブロードリーフの業績を見ていきます。
収益モデルについて
業績を見ていく前に、ブロードリーフの収益モデルを簡潔に記載します。
まず、提供するサービスの種類によって収益モデルは異なります。
基本的にはSaaSが主力サービスであるため、サブスクリプションが中心となりますが、上述の通り、マーケットプレイスや業種別業務システムや作業分析ソフトウェアなどがありますので、公式HPから引用して記載します。
クラウドサービス
SaaS
[SaaSライセンス数×月額利用料]+[利用回数×手数料] *
*従量課金は.cシリーズのみマーケットプレイス
新品部品の場合・・・[電子受発注ライセンス数×月額利用料]+[利用回数×手数料] リサイクル部品の場合・・・[立替額×手数料率]*
*立替払いサービスを利用する場合のみパッケージシステム
業種別業務システム
[ソフトウェア(業種別)販売数× 6年ライセンス料]+[ユーザー数×月額利用料]*
*サポートサービス料など作業分析ソフトウェア
[ソフトウェア(業務ツール)販売数×ライセンス料]*
*モバイル版の場合は[ライセンス数×月額利用料]
※引用元:https://www.broadleaf.co.jp/ir/management/business/
特筆すべきはパッケージシステムの業種別業務システムについては、複数年分を一括計上している点ですね。
ブロードリーフの業績について
次にブロードリーフの業績について見ていきます。
ブロードリーフはプライム上場企業ですので、IR情報を確認しながら業績を見ていきます。IR情報を見るとブロードリーフの直近3年間の業績は以下のように推移しています。2022年12月期の数字を見ると、今まで200億円近くの売上高だったものが、140億円弱に減っています。売上が大幅に減少しているため、利益もなくなっていますね。
この点について、ファイナンス系掲示板でも口コミが寄せられているので、実際の口コミを取り上げて検証します。
※単位:百万円
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期利益 | 1株あたり利益 |
2021年12月期 | 20,652 | 3,395 | 3,233 | 2,173 | 24.7 |
2022年12月期 | 13,833 | -2,897 | -3,005 | -2,431 | -27.5 |
2023年12月期 | 15,385 | -1,902 | -1,921 | -1,487 | -16.8 |
売上計上基準の変更のみで業績は順調!
では実際に書き込まれていた内容を取り上げ、実態を検証してまいります。
投資やマネーの総合情報サイトで、口コミを書き込みもできるYahoo!ファイナンスを見ると「ブロードリーフの業績が悪い」との趣旨の書き込みが見られます。確かに上述の通りブロードリーフの2022年12月期の売上は大きく減少し、損失を計上していますね。
しかし、これには先ほど説明した収益モデルが関わっています。2022年2月9日にリリースされた「中期経営計画(2022–2028)策定のお知らせ」を見ると分かりますが、主力商品を複数年分一括計上方式のパッケージスステムから月額計上方式のクラウドサービスに変更したことによる一時的な売上減少であるとのこと。
公式HPには、以下のような説明が掲載されていました。
4.業績計画
2022年12月期における顧客基盤は引き続き堅調を維持する見込みです。ただし、2022年12月期は、クラウドソフトウェア『.cシリーズ』の販売数が、年間でのソフトウェア販売総数の大半を占めるようになります。そのため、『.cシリーズ』は月額方式での売上計上となることから、旧ソフトウェアでの複数年分一括の売上方式と比較して、年間での売上計上額は約80億円減少する見通しです。これが主要因となり、2022年12月期の連結売上収益は前期比で減収となる見通しです。このため、営業利益、親会社の所有者に帰属する当期利益とも損失となる見通しです。
『.cシリーズ』のユーザー数増加に伴い、月額売上は年々積み上がりますので、2023年12月期以降の連結売上収益は前期比で増収に転じる見通しです。顧客基盤は引き続き堅調な推移になると見込んでおり、2023年12月期以降の売上収益の回復が見込めることから、リストラなどの実施予定はありません。
2026年12月期での過去最高業績の達成を通過点とし、最終年となる2028年12月期には営業利益率40%、親会社の所有者に帰属する当期利益80億円を目指します。
2022年12月期から2028年12月期の連結業績計画は以下のとおりです。
2022年12月期と2023年12月期は純損失となる見通しであることから、いずれも利益剰余金は減少いたしますが、資本不足となることはなく財務健全性は確保できる見込みです。
*本資料に記載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。
参照元:https://www.broadleaf.co.jp/company/press/press_detail/?itemid=257&dispmid=1002
これらの説明からわかるように、2028年12月期には「親会社の所有者に帰属する当期利益」は80億円の見込みとのこと。
2022年に売上が落ち込んだ実態は、売上計上基準が変わったことによる一時的な売上、利益減少であることが分かりました。
実際に、2023年12月期の決算情報では、売上・利益が回復してきており、正しい実態が反映されるようになってきています。
「業績が悪い」という口コミは、誤りであることが分かりましたね。
クラウド化率の推移について
次に売上、利益減少の理由は主要商品をパッケージスステムからクラウドサービスへ移行したことにあると説明しましたが、進捗状況についても見ていきます。
ブロードリーフでは、進捗管理を行うための主要KPIとして、「クラウド化率」を設定しているようです。そして2024年末までにクラウド化率40%超を目指していましたが、2023年12月期決算説明資料(ノート付き)によると、目標が30%に下方修正されています。
一見進捗が遅れているように見えますが大丈夫でしょうか?
こちらも実態を検証します。
• 2028年までに全てのお客様をクラウドソフトに切り替える計画に変更はないが、
クラウド化のペースを見直し
• 2024年以降、ボリュームゾーンの準大手のお客様による
クラウドソフトへの切り替え件数が増加する見込み
• パッケージソフトからクラウドソフトへと単に入れ替えるだけでは
データトランザクションの増加につながらないため、オプション追加や
周辺商材の提案、他システムとの連携実現を、併せて提案することが重要
• 連携機能を構築・適用する際に、想定以上にリソースと時間を要することが判明
• 整備業・鈑金業以外の業種へのクラウドソフトの導入が
スロースタートになったことも、クラウド化ペースの変更要因
• メーカー系部品商との連携強化も重要な施策のため、今後さらに推進予定
• ライセンス当たりの売上と1社当たりのライセンス導入数から算定すると、
クラウド化が完了時には、計画通りクラウドソフト売上を達成できる見込み
• 時間的には若干ビハインドに見えるが、
中長期的にお客様のライフタイムバリューを上昇させる方向での計画見直しになる
クラウドソフトのお客様数は2023年末時点で5,381社で、クラウド化率は15%
• 2024年はパッケージソフトの利用期間満了となるお客様数が多い上、
機能追加や部品商向けの提供開始など、対象業種も増える見込み
• 当初の計画では2024年末のクラウド化率を40%にすることが目標だった
• 40%の達成だけにこだわると
パッケージソフトからクラウドソフトに単に置き換えるだけになるため、
包括的な提案を浸透させる目的で30%に変更
• ライセンス数は、2023年末時点で標準版が6,856、特定大手版が1,300となり、
合計で8,156ライセンス
• クラウド化ペースの変更に加え職種別ライセンスの導入状況を勘案し、
2024年末のターゲットを当初計画の24,000から16,000に変更
• クラウド化率100%達成時点でのライセンス数は当初計画を下回る可能性があるが、
導入後しばらくしてからライセンス追加されるお客様も相当数あるため、
最終的には当初計画のターゲット数に近づく見込み
参照元:https://ssl4.eir-parts.net/doc/3673/ir_material_for_fiscal_ym/150589/00.pdf
上記決算資料の内容をよく見ると、クラウド化率目標の下方修正は、クライアントに対し、包括的な提案を浸透させる目的だと言うことが分かります。
クラウド化率は一定ペースでの進捗ではない
クラウド化への切り替えはユーザーごとに異なる契約月、年度にもどついて行なっていくため、対象ユーザー数が月、年度によりことなります。そのため、切り替えは対象ユーザー数に大きく左右され、一定ペースでは進まないことが分かります。
従来のパッケージスステムの主要品である「.NSシリーズ」は6年リース契約が主です。ですので、例えば2022年度の切り替え件数は、6年前である2016年に契約を開始したユーザー数に依存するということになります。
2024年はパッケージソフトの利用期間満了となるお客様数が多い上、機能追加や部品商向けの提供開始など、対象業種も増える見込みとのこと。
最終的な「2028年にクラウド化率100%達成」という目標に変更はないようです。
一見数字だけを見ると進捗が悪いように見えましたが、実態としてはもともとの想定通りであり、計画通りですね。
2024年12月期第1四半期決算について
それでは直近の業績はどうでしょうか。
ブロードリーフの2024年12月期第1四半期の業績を見ていきましょう。
2024年5月末に公表された2024年12月期第1四半期の有価証券報告書を見ると、2024年12月期第1四半期の売上は約40億円、税引前収益-42百万円でした。
前期同時期では、売上36億、税引前収益-5億4千万円であったため、前期と比較しても改善したことが分かりますね。
売上で約4億円、税引前収益で約5億円の改善に成功しています。
この改善はクラウド型ビジネスモデルへの移行が着実に進捗していることを示唆しているのではないでしょうか。
有価証券報告書を見てみると、2022年12月時点で6.5%だったクラウド化率が2024年3月時点で17.3%まで上昇しています。
前述の通り、最初は切り替え対象が少ないことからクラウド化率の伸び幅が限定的ですが、今後は切り替え対象が多くなるため、伸び幅が拡大していくことが期待できますね。
株主優待制度の廃止について
ブロードリーフは直近で株主優待制度の廃止を決定しましたが、それに伴いYahoo!ファイナンスでは「改悪」などのネガティブな投稿が発生しています。今まではトヨタウォレットなど株主にとって嬉しい優待がありましたので、そのように感じる人がいても不思議ではありませんが、ブロードリーフも改悪したくて、優待を廃止したわけではないと思います。
どのような考えで廃止に至ったのか見てまいります。
2022年11月のリリースを見ると株主優待廃止の背景について、以下のように記載されています。
この度、株主の皆様への公平な利益還元のあり方という観点から慎重に検討を重ねました結果、株主優待制度については廃止し、今後は配当等による利益還元に集約することといたしました。
今後も株主の皆様への利益還元を経営上の重要課題として位置づけ、企業価値の向上に取り組んでまいりますので、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
参照元:https://ssl4.eir-parts.net/doc/3673/tdnet/2200238/00.pdf
この内容を見ると、株主への利益還元の形を株主優待ではなく、配当等による利益還元という形に切り替える方針ととれますね。
ブロードリーフは株主への利益還元を経営上の重要課題として位置づけているので、改悪したくて優待廃止したのではなく、投資家を大切にしているからこその決断であることが分かります。
公式の見解があったわけではないので主観となりますが、長期的に株を保有してブロードリーフを応援している株主からすると優待廃止はむしろいいことではないかと思います。なぜなら優待目的の投資家が短期的な売買を繰り返すことによって株価が安定しなくなる可能性を防げるからです。
また、他企業においても、株主優待は厚いものの、海外の機関投資家からすると株主優待の恩恵を受けられないといった事象もあるようですので、必ずしも株主優待に拘る必要はなく、配当等で利益還元してもらったほうがいい場合もあるのではないかと思います。
株価の実態について
ここまでブロードリーフの業績を詳しく見てきましたが、次は最新の株価に注目してみましょう。
最近の株価は以下の通りです。
2023年3月末: 410円
2024年6月末: 582円
2023年3月末と比べると、約42%も株価が上昇しています。
この株価の上昇には、会計基準の変更によって会社の利益がより正確に表示されるようになったことや、業績が予想以上に好調であることが影響しています。
ブロードリーフは、2026年に過去最高の業績を目指し、売上収益を40億円、当期純利益を32億円に設定しています。
引用元:https://ssl4.eir-parts.net/doc/3673/ir_material_for_fiscal_ym/156093/00.pdf
会計基準が変わる前の2021年12月末の指標としては、1株あたりの利益(EPS)は8.32円、期待値を示すPERは25〜30倍、1株あたり純資産(PBR)は1.55倍でした。中期経営計画によれば、2026年には32億円の当期純利益を計上する見込みで、発行済株式総数が変わらなければEPSは32円になると予想されています(発行済株総数は97,896,800株)。
株価の上昇には、EPSの増加とPERの関係が大きく影響しています。EPSが増えると、PERが下がり、投資家は株価を割安に感じ、買いたい人が増えるという仕組みです。
そのため、2026年にEPSが4倍になると予想されるブロードリーフの株価は、まだまだ上昇する可能性があります。
また、2024年6月には光通信が共同保有者との株式保有比率を23.74%から24.76%に増加させたことが発表され、機関投資家がブロードリーフに注目していることがわかります。
さらに、Yahoo!ファイナンスでは、個人投資家たちが以下のような意見を投稿しています。
「株が上がるとは思う。他の年と比べて、年末の優待の影響は少ないはず。」
「光通信が株を買っており、流通する株式が減っているのが好材料だ。」
引用元:https://finance.yahoo.co.jp/cm/message/1003673/3673
このように、多くの個人投資家もブロードリーフの株に注目しているようです。今後の動向に期待が持てそうですね。
まとめ
今回はブロードリーフについて、会社概要や事業内容について説明のうえ、株価や業績についての口コミを検証してきました。。
インターネット上では匿名で書き込みができるからか、根も葉もない噂や、ネガティブな書き込みがされる傾向にあります。実際に検証をしてみると、業績が悪いわけではなく、株主優待廃止も株主のことを考えてのことであることが分かりました。株価もこれからさらに上昇していくことが期待できます。口コミをすぐに信じるのではなく、何が正しいのかを自身で判断していく事が必要だと思います。何が正しいのか、数多ある情報を取捨選択して自分の考えを持つようにしていきたいですね。