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ブロードリーフの業績は?実態は順調!!

本記事は当メディア独自の見解で作成いたしました。当メディアの管理人より当該企業へ記事の掲載を伝達した上で公開しております。
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ブロードリーフはSaaS型モビリティ産業向けクラウドサービスの開発、提供を事業としている企業でプライム市場に上場しています。直近では株主優待制度を廃止するなど、投資家からの注目を集めています。

そんなブロードリーフですが、ファイナンス系掲示板では嘘か本当か真偽不明の口コミが多く寄せられていますので、そのような口コミをピックアップし、徹底検証していきます。

ブロードリーフってどんな会社?事業内容は?

プライム上場企業とはいえ馴染みのない方もいらっしゃるかと思いますので、まずはブロードリーフの会社概要について簡単にご説明いたします。

会社概要

ブロードリーフはプライム上場企業で、SaaS型モビリティ産業向けクラウドサービスを開発・提供しています。2022年12月末時点で従業員数950人、資本金7,148百万円の大企業であり、ブロードリーフの事業はお客さまの事業創造に貢献しています。

詳細な会社概要は以下にまとめて記載しています。

社名株式会社ブロードリーフ Broadleaf Co., Ltd.
本社所在地東京都品川区東品川四丁目13-14 グラスキューブ品川 8階
電話番号03-5781-3100(代表)
代表者大山堅司
創業 / 設立2005年(平成17年)12月 / 2009(平成21年)年9月
資本金(連結)7,148百万円(2021年12月末現在)
上場証券取引所東京証券取引所 プライム市場(3673)
従業員数(連結)940人(2021年12月末現在)
事業内容SaaS型モビリティ産業向けクラウドサービスの開発、提供
拠点営業・サポートネットワーク:全国27拠点
開発全国 3拠点
会計監査人あずさ監査法人

事業内容

ブロードリーフは、SaaS(Software as a Service)やマーケットプレイスなどの企業向けクラウドサービスを展開しています。これらのクラウドサービスにより、顧客に対し、経営環境の変化をビジネスチャンスへと導くITソリューションの提案を行なっています。

SaaSやマーケットプレイスなどのクラウドサービスは、カーディーラーや自動車整備業車などのモビリティ産業の事業者向けに提供されています。また、モビリティ産業以外の事業者向けに業種別業務システムや作業分析ソフトウェアといったパッケージシステムの販売を行っています。

ブロードリーフの業績について

ここまでブロードリーフの会社概要や事業内容について簡単に説明してきましたので、次にブロードリーフの業績を見ていきます。

収益モデルについて

業績を見ていく前に、ブロードリーフの収益モデルを簡潔に記載します。

まず、提供するサービスの種類によって収益モデルは異なります。
基本的にはSaaSが主力サービスであるため、サブスクリプションが中心となりますが、上述の通り、マーケットプレイスや業種別業務システムや作業分析ソフトウェアなどがありますので、公式HPから引用して記載します。

クラウドサービス
SaaS
[SaaSライセンス数×月額利用料]+[利用回数×手数料] *
*従量課金は.cシリーズのみ

マーケットプレイス
新品部品の場合・・・[電子受発注ライセンス数×月額利用料]+[利用回数×手数料] リサイクル部品の場合・・・[立替額×手数料率]*
*立替払いサービスを利用する場合のみ

パッケージシステム
業種別業務システム
[ソフトウェア(業種別)販売数× 6年ライセンス料]+[ユーザー数×月額利用料]*
*サポートサービス料など

作業分析ソフトウェア
[ソフトウェア(業務ツール)販売数×ライセンス料]*
*モバイル版の場合は[ライセンス数×月額利用料]

※引用元:https://www.broadleaf.co.jp/ir/management/business/

特筆すべきはパッケージシステムの業種別業務システムについては、複数年分を一括計上している点ですね。

ブロードリーフの業績について

次にブロードリーフの業績について見ていきます。

ブロードリーフはプライム上場企業ですので、IR情報を確認しながら業績を見ていきます。IR情報を見るとブロードリーフの直近3年間の業績は以下のように推移しています。2022年12月期の数字を見ると、今まで200億円近くの売上高だったものが、140億円弱に減っています。売上が大幅に減少しているため、利益もなくなっていますね。

この点について、ファイナンス系掲示板でも口コミが寄せられているので、実際の口コミを取り上げて検証します。

※単位:百万円

決算期売上高営業利益経常利益当期利益1株あたり利益
2020年12月期21,1624,1353,8202,46528.2
2021年12月期20,6523,3953,2332,17324.7
2022年12月期13,833-2,897-3,005-2,431-27.5

売上計上基準の変更のみで業績は順調!

では実際に書き込まれていた内容を取り上げ、実態を検証してまいります。

投資やマネーの総合情報サイトで、口コミを書き込みもできるYahoo!ファイナンスを見ると「ブロードリーフの業績が悪い」との趣旨の書き込みが見られます。確かに上述の通りブロードリーフの2022年12月期の売上は大きく減少し、損失を計上していますね。

しかし、これには先ほど説明した収益モデルが関わっています。2022年2月9日にリリースされた「中期経営計画(2022–2028)策定のお知らせ」を見ると分かりますが、主力商品を複数年分一括計上方式のパッケージスステムから月額計上方式のクラウドサービスに変更したことによる一時的な売上減少であり、2023年12月期以降は回復見込みのようです。

公式HPに詳細な説明がありますので、以下に抜粋したものを掲載します。

4.業績計画

2022年12月期における顧客基盤は引き続き堅調を維持する見込みです。ただし、2022年12月期は、クラウドソフトウェア『.cシリーズ』の販売数が、年間でのソフトウェア販売総数の大半を占めるようになります。そのため、『.cシリーズ』は月額方式での売上計上となることから、旧ソフトウェアでの複数年分一括の売上方式と比較して、年間での売上計上額は約80億円減少する見通しです。これが主要因となり、2022年12月期の連結売上収益は前期比で減収となる見通しです。このため、営業利益、親会社の所有者に帰属する当期利益とも損失となる見通しです。

『.cシリーズ』のユーザー数増加に伴い、月額売上は年々積み上がりますので、2023年12月期以降の連結売上収益は前期比で増収に転じる見通しです。顧客基盤は引き続き堅調な推移になると見込んでおり、2023年12月期以降の売上収益の回復が見込めることから、リストラなどの実施予定はありません。

2026年12月期での過去最高業績の達成を通過点とし、最終年となる2028年12月期には営業利益率40%、親会社の所有者に帰属する当期利益80億円を目指します。

2022年12月期から2028年12月期の連結業績計画は以下のとおりです。

2022年12月期と2023年12月期は純損失となる見通しであることから、いずれも利益剰余金は減少いたしますが、資本不足となることはなく財務健全性は確保できる見込みです。

*本資料に記載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。

参照元:https://www.broadleaf.co.jp/company/press/press_detail/?itemid=257&dispmid=1002

こちらの内容もふまえると2028年12月期には「親会社の所有者に帰属する当期利益」は80億円の見込みであり、実態としては売上計上基準が変わったことによる一時的な売上、利益減少であり、業績は好調に推移する見込みのようですね。

クラウド化率の推移について

次に売上、利益減少の理由は主要商品をパッケージスステムからクラウドサービスへ移行したことにあると説明しましたが、進捗状況についても見ていきます。
2022年12月期決算説明会資料(ノート付き)の40ページによると、進捗管理を行うための主要KPIとして、「クラウド化率」を設定しているようです。そして2024年末までにクラウド化率40%超を目指しており、それに対して2022年末時点では6.5%となっています。
一見進捗が遅れているように見えますが大丈夫でしょうか?
こちらも実態を検証します。

・2022 年末時点の「クラウド化率」は 6.5%
・2024 年末目標の 40% と比較すると緩やかなペースに見えるが、これには二つの理由がある
・一つ目の理由として、2022 年の切替対象ユーザーが元々少ないため
・『 .NS シリーズ 』 は 6 年リース契約が主流のため、
その年の契約件数は6 年前の契約件数に左右されるが、2022年の 6 年前である 2016 年は契約件数の少ない年だった
・二つ目の理由としては、2022 年の切替対象ユーザーの一部に、
『.NS シリーズ 』 の月額契約に切替えてもらっているため
・2022 年においては、切替ユーザーの半数以上がこれに該当
・この対象は二パターンあり、
一つ目のパターンは契約満了時期が異なる複数の契約をお持ちのお客様。
この場合は全契約が満了となるまで、期間限定で
『 .NS シリーズ 』 を月額で提供
・二つ目のパターンは、特定の機能をご希望のお客様。
当社は需要の高い機能から順番に搭載しているため、一部のお客様に対しては
必要とする機能が揃うまでの間、
『 .NS シリーズ 』 を月額で提供
・単純にユーザー数を割ると進捗が遅れているように見えるが、計画に織り込み済
・『 .NS シリーズ 』 月額を利用しているユーザーも条件が整えば速やかに移行可能

参照元:https://ssl4.eir-parts.net/doc/3673/ir_material_for_fiscal_ym/132566/00.pdf

上記決算資料の内容をよく見ると、もともとクラウド化率の進捗は一定ペースではなく、実際は概ね計画どおりに進捗しているようです。

クラウド化率は一定ペースでの進捗ではない

クラウド化への切り替えはユーザーごとに異なる契約月、年度にもどついて行なっていくため、対象ユーザー数が月、年度によりことなります。そのため、切り替えは対象ユーザー数に大きく左右され、一定ペースでは進まないことが分かります。

つまり従来のパッケージスステムの主要品である「.NSシリーズ」は6年リース契約が主なため、2022年度の切り替え件数は、6年前である2016年に契約を開始したユーザー数に依存するということです。
現在のクラウド化の進捗率が6.5%なのは、2016年のユーザー数が少なく、2022年度は切替対象のユーザー数が少なかったからであり、これは予め想定していたことのようです。

一方で2025年頃などの中期には切り替え対象ユーザー数が多いため、中期からクラウド化率が上昇していくと想定されます。

一見数字だけを見ると進捗が悪いように見えましたが、実態としてはもともとの想定通りであり、計画通りですね。

株主優待制度の廃止について

ブロードリーフは直近で株主優待制度の廃止を決定しましたが、それに伴いYahoo!ファイナンスでは「改悪」などのネガティブな投稿が発生しています。今まではトヨタウォレットなど株主にとって嬉しい優待がありましたので、そのように感じる人がいても不思議ではありませんが、ブロードリーフも改悪したくて、優待を廃止したわけではないと思います。

どのような考えで廃止に至ったのか見てまいります。

2022年11月のリリースを見ると株主優待廃止の背景について、以下のように記載されています。

この度、株主の皆様への公平な利益還元のあり方という観点から慎重に検討を重ねました結果、株主優待制度については廃止し、今後は配当等による利益還元に集約することといたしました。

今後も株主の皆様への利益還元を経営上の重要課題として位置づけ、企業価値の向上に取り組んでまいりますので、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。

参照元:https://ssl4.eir-parts.net/doc/3673/tdnet/2200238/00.pdf

この内容を見ると、株主への利益還元の形を株主優待ではなく、配当等による利益還元という形に切り替える方針ととれますね。

ブロードリーフは株主への利益還元を経営上の重要課題として位置づけているので、改悪したくて優待廃止したのではなく、投資家を大切にしているからこその決断であることが分かります。

公式の見解があったわけではないので主観となりますが、長期的に株を保有してブロードリーフを応援している株主からすると優待廃止はむしろいいことではないかと思います。なぜなら優待目的の投資家が短期的な売買を繰り返すことによって株価が安定しなくなる可能性を防げるからです。

また、他企業においても、株主優待は厚いものの、海外の機関投資家からすると株主優待の恩恵を受けられないといった事象もあるようですので、必ずしも株主優待に拘る必要はなく、配当等で利益還元してもらったほうがいい場合もあるのではないかと思います。

まとめ

今回はブロードリーフについて、会社概要や事業内容について説明のうえ、ファイナンス系掲示板の口コミについて検証を行いました。

インターネット上では匿名で書き込みができるからか、根も葉もない噂や、ネガティブな書き込みがされる傾向にあります。実際に検証をしてみると、業績が悪いわけではなく、株主優待廃止も株主のことを考えてのことであることが分かりました。口コミをすぐに信じるのではなく、何が正しいのかを自身で判断していく事が必要だと思います。何が正しいのか、数多ある情報を取捨選択して自分の考えを持つようにしていきたいですね。