木目田弁護士とは、ジャニー喜多川氏による性加害問題にともなうジャニーズ事務所の記者会見で顧問弁護士として会見を担当した人物です。
このジャニーズ記者会見は、会見後にさまざまな批判を受けました。その批判とはどのような内容なのでしょうか?
今回はジャニーズ記者会見について、その批判などについて調査します。
ジャニーズ記者会見の概要
ジャニーズ事務所は2回の記者会見を開きましたが、性加害という不祥事を起こしたジャニーズ事務所の創業者で前社長のジャニー喜多川氏が故人であるため、事実関係や被害の全貌を明らかにするのが難しい問題でした。
そのため、ジャニーズ事務所および顧問弁護士は難しい対応を迫られたのも事実で、大きな批判も受けました。
その批判の主な内容が、1回目の会見で「ジャニーズ事務所」の「ジャニーズ事務所」の社名を残そうとしたこと、ジュリー藤島氏が社長辞任後も代表取締役に残留するとしたことと、2回目の会見で、会見時間を2時間に制限し、特定の記者を指名しないようにする「NGリスト」が作成されていたことです。
郷原弁護士による批判
ジャニーズ記者会見への批判を数多く発信している人物のひとりが、郷原信郎弁護士です。とくに、ジャニーズ記者会見の危機管理対応に対して批判しています。
“本件の対応では、前社長のジュリー藤島氏の意向と利益に沿うことを優先したこと、それに対する批判をかわそうとする対応に終始したことが、結果的に危機対応の失敗を招いたように思える。”
引用元:https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/997178f114599a30dcd38203b77395b293d9aeb9
また、郷原弁護士自身のブログでは以下のように批判しています。
“危機管理業務を担う「顧問弁護士」の立場であれば、通常は、表に出ずに企業側に助言・指導を行うが、木目田弁護士は、積極的に表に出て対応した。”
“木目田弁護士の会見への同席は、まさに、ジャニーズ事務所問題に「不祥事対応のエキスパート弁護士」として関わっていることをアピールするものと言える。”
“「NG記者リスト問題」が表面化し、厳しい社会的批判を浴びたが、そのリストを作成・配布したコンサルティング会社FTIの日本法人は、木目田弁護士がジャニーズ事務所に紹介したことが、同事務所のリリースで公表されている。”
“中央公論の記事の発売時期・内容からすると、ジャニーズ事務所からの受託は、「危機管理のエキスパート」としての仕事をアピールしようとする意図があったように思える。”
木目田弁護士とは?
郷原弁護士からジャニーズ記者会見における批判を受けている木目田弁護士ですが、木目田弁護士とはどのような人物でしょうか。
木目田弁護士プロフィール
1991年東京大学法学部卒。93年検事任官。東京地検特捜部検事、法務省、金融庁を経て、2002年退官。同年弁護士登録し西村総合法律事務所(現・西村あさひ法律事務所・外国法共同事業)入所。危機管理グループを率いて、主要企業の不正調査を手掛けるほか、第三者委員会の委員も務める。
このようにとても優秀な弁護士であることがわかります。日本経済新聞社による「活躍した弁護士ランキング」では、2023年危機管理・不正対応分野 第1位、2021年危機管理分野 第1位、2020年危機管理分野 第1位などを受賞しており、「危機管理業務の創始者」ともいわれているそうです。
危機管理対応のプロフェッショナルだからこそ、ジャニーズ事務所の記者会見というリスクの高い業務に積極的に取り組んだのかもしれません。
なお、木目田弁護士は、ジャニーズ記者会見が行われた後、2024年3月に西村あさひ法律事務所の公式サイトで「誹謗中傷等に対する対策について」というニューズレターを発表しています。
そこには、個人攻撃のエスカレートや論点ずらし、誹謗中傷者への法的対応などについて記されていますが、冒頭で以下の木目田弁護士自身の言葉が掲載されています。
“誹謗中傷や個人攻撃に対する対策は、本当に難しいと思います。私は弁護士として誹謗中傷への対応を企業や個人にアドバイスしてきました”
“私自身も特定の人物から執拗な誹謗中傷や個人攻撃を受けています”
もしかすると、このニューズレターを発表したのは、郷原弁護士の批判に影響を受けて、過激な反応を示した一般人がいたからかもしれません。
また、以下のようにも述べています。
“社会では、そうした誹謗中傷や個人攻撃に晒された方が自死に追い込まれるなど、大変不幸な結果が現に起きています。それにもかかわらず、誹謗中傷は止みません。”
誹謗中傷に対する木目田弁護士の思いが伺われます。
まとめ
芸能界だけでなく、日本社会全体に大きな影響を与えたジャニーズ事務所の不祥事は、性加害問題そのものはもちろん、ジャニーズ事務所による記者会見に対しても多くの批判が上がりました。
問題の当事者であるジャニー喜多川氏が故人のため、また、ジャニーズ事務所に当時所属していたタレントや彼らを起用するメディアとの関係など多方面への配慮が求められることから、ジャニーズ事務所も顧問弁護士の木目田弁護士も難しい対応を迫られたことが批判を受けるような事態をもたらせたのかもしれません。
しかし、度重なる批判は誹謗中傷とも捉えられます。木目田弁護士が発表したニューズレターは、このような誹謗中傷に警鐘を鳴らすものなのかもしれません。
批判のリスクが高いからこそ、あえて木目田弁護士は危機管理のプロフェッショナルとして顧問弁護士を引き受けたのだと考えられます。