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TATERU(タテル)の株価が大暴落しないのはなぜ?企業価値を分析してみた。

【本記事においてはアフィリエイトやその他の収益を目的として、試供品または取材費をいただいて記事を掲載しています】


2019年6月17日、一部報道にてTATERU(タテル)に業務停止命令が下されることが判明しました。詳細はまだ分かっておりませんが、徐々に復活の兆しを見せていたこのタイミングの処分はどのくらいの影響を与えるのでしょうか。

 

アパートの施工、管理を手がける東証1部上場のTATERUが、建設資金の借入希望者の預金データを改ざんしていた問題で、国土交通省は同社に業務停止命令を出す方針を固めた。預金残高を実際より多く見せ金融機関の審査を通りやすくしていた。国交省は会社ぐるみで改ざんし、不正が全国に広がっていることを問題視し、行政処分に踏み切る。

参考URL:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46200250X10C19A6MM8000/

 

そもそもの発端はTATERU(タテル)が、顧客の預金残高を改ざんし、融資を受けやすくしていたことです。それが発覚してからのTATERU(タテル)は大きく信頼を失ってしまいます。

株価もどんどん下がってしまい、全盛期とは比べ物にならないほど低くなってしまいました。

しかし、いくら株価が下がっても最近はストップ安が発生することもなく、底値感が強まっています。それは一体なぜなのでしょうか?

今回の業務停止命令によって株価にどのような影響を与えるのか、倒産してしまう可能性はあるのか、TATERU(タテル)がCMを再開したことについても考察していきましょう。

 

 

どうしてTATERU(タテル)の株は暴落しないのか?

TATERU(タテル)の株価は事件発覚後に急落し、現在は200円台を推移する形となっています。

しばらく200円台の推移が続いていますが、なぜ株価はこれ以上暴落することがないのでしょうか?

PBRなどをチェックしながら分析していきます。

 

TATERU(タテル)の企業価値

株価が暴落しない理由として、企業の信頼度は落ちてしまったものの、企業価値が高いということが考えられます。

では、TATERU(タテル)の企業価値はどれほどのものとなっているのでしょうか?

 

まずはPBRからチェックしてみましょう。

PBRは1株当たりの純資産と株価が等しい状態であれば1倍と判断されます。

もし1倍よりも下回っていれば企業の持つ純資産価値よりも下に評価されているため、株価が現在割安であると考えられるでしょう。

一方、1倍よりも高い場合は逆に現在の企業価値より株価が評価されており、割高だと判断できます。

6月18日時点のTATERU(タテル)のPBRは0.99倍であり、若干下回っているもののほとんど純資産と株価は等しい状態です。

メインであるアパートメント事業の営業を再開していないにも関わらず、企業としての純資産が一定程度あり、倒産する可能性が低いことからPBRが1倍とほぼ同等の数値になっているのだと考えられます。

財務状況が安定していることを前提として、今後はIoTや宿泊事業など、不動産サービスの先を走るような最先端の事業内容で期待されていることや、データ改ざんによる不正に対して真摯に向き合い、きちんと対策を打ち出していることなどから、投資家からの信頼を受けた結果、現在の株価を維持していると考えられます。

 

 

そもそも株価が下がった原因は?そしてその対策は?

続いては、TATERU(タテル)の株価が下がる原因となった問題について振り返ってみることにしましょう。

そして、その問題に対してTATERU(タテル)がどのように対策を行ったのでしょうか?

 

TATERU(タテル)が起こした問題とは?

TATERU(タテル)は、不動産投資を希望している顧客の預金残高を改ざんし、融資審査を通りやすくしていました。

例えば、23万円しか預貯金がない顧客の預金残高を623万円に水増しし、銀行に書類を提出したのです。この顧客が不動産物件を購入するために必要な金額は1億1,000万円でしたが、融資を受けるには預金残高が少なすぎます。

そこでTATERU(タテル)は、預金残高の水増しをしました。

融資を受ける予定だった顧客は、預金残高が少ないことを事前に話していたにも関わらず、大丈夫だと言われ、本当に融資が通ってしまったのです。

それを不審に思った顧客が融資先に問い合わせると、預金残高が623万円になっていたことが発覚し、水増しの事実が明らかになりました。

参考URL:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34838480R30C18A8MM8000/

 

営業部長や部長代理などが関与

この問題には、営業部長や部長代理など31人が関与していたと言います。

契約棟数は2,269件となっていますが、その中の350件で不正が見られました。

TATERU(タテル)は、スマートフォンのアプリを活用して投資家に土地を紹介するなど、今までにはないサービスを提供することで注目を集めてきました。

参考URL:http://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS02693/8c38e3af/59c7/4cb4/a7d1/cf724ca89b60/140120181227455509.pdf

 

TATERU(タテル)が問題発覚後にとった対策

では、TATERU(タテル)はこの問題を受けて、どのような対策をとったのか見ていきましょう。

 

業務フローを改善する

これまでは、営業職の社員が顧客から受け取った融資に関する資料を金融機関に送付していました。

その流れが不正を生み出す原因の1つだと考えられたため、TATERU(タテル)では事務課を新設しています。

融資に関する資料は事務課で受領し、金融機関への提出も事務課が行います。

そうすることで、同じような不正を防ぐことが可能になります。

 

内部通報制度を充実させる

350件もの不正があったにも関わらず、これまでTATERU(タテル)では内部通報がありませんでした。

もしも内部通報ができる環境にあれば、ここまで大きな問題に発展する可能性は少なかったかもしれません。

1人分でも顧客のデータを改ざんしてはいけませんが、できるだけ早い段階で問題を見つけられていれば今とは違う結果になった可能性もゼロではありません。

それを受けてTATERU(タテル)は、顧客や取引先用のコンプライアンスラインを設けるなど、内部通報がしやすい環境を整えようとしています。

内部通報制度が充実すれば、少なくとも同じような不正が再発することはないでしょう。

 

契約適合性手続を厳格化する

TATERU(タテル)と顧客が売買契約などの契約を結ぶ時に、契約の適合性をより高めるための対策も決めました。

その対策は、契約を結ぶ顧客の預金通帳など預貯金が分かるデータの原本を事務課が必ず確認するというものです。

原本を確認していれば、どこかのタイミングで改ざんが行われたとしても気が付くことができ、融資をしてもらう前に問題を食い止められるのでしょう。

 

業務のモニタリングを行う

前述した内部通報制度の充実や契約適合性手続きの厳格化がしっかりと遵守されることが重要です。

しっかりと遵守されているかを確認するために、業務のモニタリングを行うとしています。

モニタリングは事前に知らされることがないため、抜き打ち検査になります。

抜き打ちでモニタリングを行うことで、きちんと業務が行われているのか確認できます。

 

TATERU(タテル)の株価は、顧客の預金残高改ざん問題がきっかけで暴落しました。

大きく失われてしまった信頼を取り戻すために、再発防止策を提示し対策を実施しています。

このような具体的な対策に加え、香港に本社を構えるDiginexと共同でブロックチェーン技術を使ったソリューションの開発を進めています。

このように、TATERU(タテル)では二度と同じことが起きないように、透明性の高い取引を行うためのシステム開発まで進めています。このシステムが導入されれば、顧客にとって一番安全で分かりやすい改ざん防止システムになるだろうと予想されており、開発が進めばTATERU(タテル)以外にも様々な企業へ導入されることが期待できます。

 

 

倒産の可能性はあるのか。株価はどこまで上がるのか。

TATERU(タテル)ではデータ改ざん問題発覚後、様々な対策を取っていますが、果たして倒産してしまう可能性はないのでしょうか?

ここでは流動比率や当座比率、キャッシュフローなどをチェックしながら倒産の可能性はあるのか確認していきます。

各数値の算出に関しては下記の最新決算を参考にしています。

参考URL:http://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS02693/61ccdd4d/4f16/4dba/9c64/b304d478a98b/S100FRZL.pdf

 

TATERU(タテル)の流動比率

まずは、TATERU(タテル)の流動比率から見ていきましょう。

流動比率は、流動資産÷流動負債×100という計算式で算出できます。

TATERU(タテル)の流動資産は約242億円、流動負債は約113億円です。

この計算式からは、およそ214.2%という数字を導き出すことができます。

流動比率は、100%以上であれば1年以内に支払い不能という状態に陥る可能性が低いことを表しているため、TATERU(タテル)がすぐに支払い不能で倒産してしまう可能性は低いと言えるでしょう。

 

TATERU(タテル)の当座比率

続いては、TATERU(タテル)の当座比率を計算していきます。

当座比率は、当座資産÷流動負債×100という計算式で算出できます。

TATERU(タテル)の当座資産(現金や預金、売掛金)は約105億円、流動負債は約113億円です。

この計算式からは、およそ92.9%という数字を導き出すことができます。

当座比率は、100%以上であれば黒字倒産になる可能性は極めて低いと言われていますので、こちらも安全圏内と言えるでしょう。

 

TATERU(タテル)のキャッシュフロー

TATERU(タテル)のキャッシュフローの計算もしていきましょう。

参考にしたのは下記の決算報告書です。

参考URL:http://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS02693/023cae08/ce64/4e8c/bca4/731092b046ad/S100FHKE.pdf

TATERU(タテル)のキャッシュフローは、2015年12月期から2018年12月期までプラスを維持し続けています。具体的な数字は下記の通りです。

 

・2015年12月期…約18.6億円
・2016年12月期…約6.5億円
・2017年12月期…約49.8億円
・2018年12月期…約21.1億円

 

この数字から資金調達は順調にできていることが分かるでしょう。このことから、TATERU(タテル)の財政状況は悪くないと考えられます。

 

倒産の可能性は低く、株価はさらに上がっていく可能性がある

TATERU(タテル)の流動比率や当座比率、キャッシュフローを計算することで、TATERU(タテル)が倒産してしまう可能性が低いことが分かりました。

これまでは、TATERU(タテル)が倒産してしまうのではないかという懸念があったため、株価は大幅に下がっていましたが、倒産してしまう可能性が低いと分かれば、株価が上がる可能性もあるでしょう。

現在はまだそれほど上がっているわけではありませんが、今後TATERU(タテル)の動向が明確なものになれば、それに応じて株価も上昇していくのではないでしょうか?

株価に関しては、これからどのような動きになるのかをこまめにチェックした方が良いでしょう。

 

 

最近ではTATERU(タテル)のCMも再開。YouTubeの動画を見てみた

顧客の預金残高改ざん問題が発覚してからTATERU(タテル)は、CMなどもしばらく放送していませんでした。

しかし、最近になってCMの放送を再開しています。

CMを再開したということは、これまでの問題を解決させる方向に動き、再出発しようという気持ちがあると言えるのではないでしょうか?

TATERU(タテル)がCMを再開した理由について、考察していきましょう。

 

TATERU(タテル)のCM内容

TATERU(タテル)の新しいCMは、近未来的なイメージを見る人に与えてくれます。

これは、TATERU(タテル)の新しい方向性を示していると考えることができるでしょう。

つまりTATERU(タテル)は、これからもIoTを導入した事業を展開していくのだと読み取れます。

「IoTと暮らしを変える」という点は、まさに今後の事業展開を示しているのではないでしょうか。

 

TABICTやRobot Homeの事業に力を入れ始めているため、確実にIoT関連事業には力を入れていくはずです。

TABICTでは、「新しい旅をつくる。」というコンセプトに基づいた事業を展開していくと発表されています。物件の提案を受けたり、宿泊施設運用のメリット・デメリットを確認したり、わからないことは、どんなことでもチャットで相談できる「TRIPPOD」や、スマートロックやチェックインタブレットなど、スマートな宿泊施設運用を可能にした「bnbkit」等のサービスを提供しています。

Robot Homeでは、IoT賃貸経営プラットフォームの提供を行っており、管理を一元化することによって、オーナーや入居者、管理会社は業務の効率化を図ることができます。

 

IoT市場はこれからどうなっていくのか

IDC Japanは、2018年9月に2022年までの日本国内におけるIoT市場のテクノロジー別支出額予測を発表しました。

参考URL:https://www.idcjapan.co.jp/Press/Current/20180912Apr.html

それによると、2017年の支出額が5兆8,160億円だったものが、2022年までに平均で15%の成長率が見込まれ、その額は11兆7,010億円に上ると考えられています。

個人消費となるスマートホームに関する需要も高まっていくと考えられているため、ソフトウェア方面におけるIoTの支出は大きくなるでしょう。

IoTは、これから様々な方面で活用されることが予想されるため、市場規模もどんどん拡大していくという見方をする人も多いです。

 

IoT市場が伸びていくということは、TATERU(タテル)が手掛け始めている新規事業にも明るい未来が待っていると考えられるでしょう。

現在のTATERU(タテル)は、将来性を見込めないと考える人がいることは確かです。

しかし、市場の動きを確認してみると、TATERU(タテル)にも将来性があると言えます。

そのため、TATERU(タテル)のこれからの事業展開や再スタートのタイミングはチェックしておいた方が良いでしょう。

 

TATERU(タテル)は、顧客の預金残高を改ざんするという大きな問題を起こしました。

その結果、一時は顧客からの信頼を失うことになってしまいました。

しかし、起こしてしまった問題に対して真摯に向き合い、再発防止策も提示しています。

さらに、新しい事業も発表していることから、新たなスタートを迎えようとしているということが分かります。

TATERU(タテル)も参入しているIoT市場は、どんどん需要が高まっていて、2022年には今よりも大きな需要があると考えられています。

需要に合うサービスを供給することによって、TATERU(タテル)の事業規模はさらに拡大していくことでしょう。