法人の噂・真相

TATERU(タテル)に業務停止命令!?今後どうなっていく?

【本記事においてはアフィリエイトやその他の収益を目的として、試供品または取材費をいただいて記事を掲載しています】


TATERU(タテル)はIoTアパートの建設や管理に携わってきた企業で、多くの株主や不動産投資家から注目を集めていました。

しかし、昨年8月末に発覚したデータ改ざん問題の影響から株価は急落し、新規顧客を獲得するための営業も自粛している状態です。

しかも今回、国土交通省から業務停止命令が下される可能性について言及した報道も出てしまいました。

今後TATERU(タテル)に業務停止命令が下された場合、株価や業績への影響はどれくらいになるのでしょうか?

今回はTATERU(タテル)の今後について考察していきたいと思います。

TATERU(タテル)の株価や業績が今後どうなっていくのか気になる方は、ぜひ参考にしてみてください。

TATERU(タテル)に業務停止命令の行政処分!?株価や業績への影響度合いは?

TATERU(タテル)に新しい展開が訪れました。

2019年6月17日に日本経済新聞社からTATERU(タテル)の改ざん問題について国土交通省が業務停止命令を出す方針を固めていると報じられたのです。

さらに、改ざん問題の件について宅地建物取引業法に基づいた聴聞が6月21日に行われました。

この聴聞で、TATERU(タテル)側は指摘された事実関係に対し事実であると認めた上でお詫びしています。

業務停止処分になるかどうかが決定したわけではないのですが、TATERU(タテル)側の代理人弁護士は先例を見た上で業務停止処分ではなく、指示処分を求めており、業務停止処分となってしまえばオーナー側に不利益が生じローン返済ができなくなってしまうかもしれない、更には会社存続が極めて厳しくなると主張しました。

データ改ざん問題の流れ

このような事態に陥ってしまったのは、2018年8月末に発覚したデータ改ざん問題が原因となっています。

どのような流れで起きてしまったのか、第三者の調査委員会の報告書を元に簡単に解説していきましょう。

参考URL:特別調査委員会からの調査結果報告書(要約版)受領および今後の対応に関するお知らせ

TATERU(タテル)では正確な時期は分かっていないものの、2010年頃から金融機関で行われている融資審査に通りやすくするため、複数の事業所においてエビデンスとなるデータを改ざんする動きが見られていました。

この事実は会社内で一度発覚し、会議の中で改ざんをやめるようにと営業本部長から営業部長へ通告が渡っています。

しかし、それでも改ざんを止めない人がいました。

2018年2月に1人の顧客から営業職員によるエビデンス改ざんがあったという書簡を受け、営業本部長が個別に対応しています。

ただ、それ以上の調査は実施されませんでした。

その後、TATERU(タテル)からアパート物件を紹介された男性が、自己資金がなくてもアパート経営ができるという提案を受け、その話に乗ったもののなぜ融資が通ったのか気になった男性が西京銀行に直接預金残高を示すデータ開示を要求し、約23万円しかないはずの残高が約623万円にまで水増しされていることが分かったのです。

参考URL:アパート融資資料改ざん、TATERUでも:日本経済新聞

第三者調査委員会による調査の結果、TATERU(タテル)の営業部長を含む31人の従業員が不正に関わっていたこと、そして2,269件の成約棟数の中で、350件で改ざんが認められたとしています。

また、不正に関わった取締役(営業本部長)は辞任しており、社長を含めた取締役10人に対しても月額報酬の減額処分が決定し、再発防止策に関しては業務フローの変更から業務モニタリングなど、併せて5個にも及ぶ再発防止策を打ち出しています。

参考URL:役員報酬の減額及び取締役の辞任に関するお知らせ

業務停止命令報道による株価への影響は?

業務停止命令報道があったのは6月17日のことですが、この報道から株価はどのように変化しているのでしょうか?

報道があったのは17日夜ということもあり、翌日の18日から株価は大きく変動しています。

前日終値231円だった株価は始値から大きく下げており、194円からのスタート、そして終値188円となりました。

その後も株価が上がることはなく、180円台を推移しています。

このままだとさらに株価が下がってしまう可能性も考えられますが、投資家である内田衛氏はTATERU(タテル)に対してポジティブな見方をしています。

内田衛氏は大学を卒業後、大手生保に勤務しその後フリーとして活躍していきます。

ファイナンシャルプランナーや宅建士の資格も持っており、現在は資産運用に充てている費用は3億円以上にも及んでいるそうです。

東洋経済オンラインやプレジデントオンラインで株式投資にまつわる記事も執筆しています。

そんな内田衛氏ですが、下記のように述べています。

預金残高改ざんによるローン申請が発覚し、ここまで株価は下げてしまったが、97.9%という高い入居率を維持している。もちろん個人的な意見だが、もし、このまま高い入居率を維持できれば、これ以上大きな問題にはならないのではないかと思う。

引用URL:カリスマ投資家が高優待の外食株を見限る理由 | 内田衛の日々是投資 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

あくまでも個人的な意見としていますが、高い入居率を維持できているのであれば、再び株価は戻ってくるだろうと予想していることが分かります。

また、内田衛氏は不動産業界で不正問題が起きた2つの企業とTATERU(タテル)を比較しています。

例えば、スルガ銀行が融資していたかぼちゃの馬車(スマートデイズ)は入居率が悪化しているにも関わらずサブリースで販売していたため経営破綻していますが、TATERU(タテル)では入居率97.9%を誇っているためほとんど空室リスクは発生していません。

また、違法建築で問題になったレオパレス21とも比較してみると、TATERU(タテル)は建築物件自体に問題が発生しているわけではなく、機能性に関してもIoTアパートということで非常に優れています。

そのため、レオパレス21に比べると株価が復活する可能性が高いと考察しているのです。

また、他の投資家たちは株価についてどのように予想しているのでしょうか?

いくつかピックアップしてご紹介していきます。

TATERUの件で業務停止報道があるけど、その前にレオパレスじゃないのって思うけどね!
TATERUは業務改善命令じゃないのかなー?

引用元:https://twitter.com/hiroki925/status/1142671617681551360

QUOカード6000人分1.6億を廃止にして、賞与引当金1.6億をつんでいるのを確認してまだまだ大丈夫だなと感じました。社員は会社の大切な資産ですから。

引用元:https://finance.yahoo.co.jp/cm/message/1835618/2cbf9cbe41201ab89304ab3e7bf1a720/116/430

業務停止命令報道が行われてからはネガティブな見方をする人が増えてきています。

しかし、中には上記のような口コミも見られました。

データ改ざん問題から改めて考えるTATERU(タテル)の本当の企業価値

業務停止命令報道は行われましたが、TATERU(タテル)に対して株価が復活すると捉えている方も多くいます。

そこで、ここからは改めてTATERU(タテル)の本当の企業価値はどれくらいなのか、調査してみました。

企業価値とは何か?

そもそも企業価値とはどういったものを指しているのでしょうか?

企業価値は、会社の経済的価値を示すもので、将来に渡るキャッシュフローの現在価値がどの程度かを推測するものです。

TATERU(タテル)の場合、データ改ざん問題が発覚してから営業を自粛しているので本来の営業利益は生み出せていないのですが、既存顧客であるオーナーのサポートは引き続き行っています。

TATERU(タテル)は財務基盤もしっかりしており、すぐに倒産してしまう可能性も低いため、投資家としては今後どれくらい株価が上がっていくのか気になるところでしょう。

そのため、この後にご紹介する企業価値の分析が重要となってくるのです。

現在多くの投資家は倒産する可能性が高いと考え、企業価値に関して注目していませんが、こういった時に未来を予測し株を購入しておけばリターンも大きくなることでしょう。

DCF法から企業価値を算出

では、ここからはDCF法を用いて企業価値を算出していきましょう。

DCF法(割引キャッシュフロー法)とは、世界的に有名な投資家であるウォーレン・バフェット氏も使用していると言われている手法で、将来が期待できる銘柄を見つけるのに役立ちます。

計算方法には様々な種類がありますが、細かく計算していくと非常に高度で難しくなってしまいます。

そのため、今回は簡略化した計算方法を使い、理論株価を算出していきましょう。

理論価値の算出方法は下記の通りです。

(事業価値+財産価値-負債-非支配株主持分)÷発行済株式数

※事業価値はピーク時の2017年12月期決算を参考に算出
※財産価値、負債、非支配株主持分は最新の2019年12月期第1四半期決算を参考に算出

事業価値とは?

事業価値とは、企業が将来的に生み出すと予想される利益、フリーキャッシュフローの現在価値です。

下記の式に数字を当てはめていくことで、事業価値を算出できます。

営業利益×0.6(実効法人税率 税引)÷0.06(期待収益率)

実効法人税率は40%としているため、式にはその税引き分を使用しています。

また、期待収益率はTOPIXの平均期待収益率がおおよそ6%であることから、こちらに設定しています。

ここに2017年12月期の営業利益、約59億円を入れて計算してみると、事業価値は約589.8億円となりました。

参考URL:株式会社インベスターズクラウド 有価証券報告書 (第12期 自 平成29年1月1日  至 平成29年12月31日)

財産価値とは?

財産価値とは流動性資産から流動負債を差し引き、投資その他の資産をプラスしたものを言います。

流動資産-(流動負債×1.2(※上場企業の流動比率平均))+投資その他の資産

上場企業の流動比率平均は業種によって異なっており平均値を利用しています。

また、投資その他の資産というのは換金性が高く、客観性が高い資産です。

例えば投資有価証券や繰延税金資産などが当てはまります。

TATERU(タテル)の最新決算(2019年12月期第1四半期)によると、流動資産は約242億円、流動負債は約113億円、投資その他の資産は約18.6億円となっています。

これらの数字を式に当てはめてみると、財産価値は約125億円であることが分かります。

参考URL:株式会社TATERU 四半期報告書 第14期第1四半期(2019年1月1日 至 2019年3月31日)

負債とは?

DCF法に用いられている負債は、固定負債のことを指しています。

TATERU(タテル)の最新決算(2019年12月期第1四半期)によると固定負債は、約13.5億円です。

非支配株主持分とは?

非支配株主持分とは、連結子会社の資本のうち、連結親会社の持ち分に属さない部分を表している勘定科目です。

子会社の純資産から親会社持ち分は相殺され、親会社持ち分以外の純資産が非支配株主持分となります。

最新決算(2019年12月期第1四半期)によると約1.1億円であることが分かっています。

以上の数字を最初にご紹介した式に当てはめてみましょう。

(約590億円+約125億円-約13.5億円-約1.1億円)÷88,767,000株=約789円

計算した結果、TATERU(タテル)の理論株価は約789円ということが分かりました。

現在は180円台前後を推移していますが、理論株価から見てみると最低でも約789円の価値があるということなので、今後理論株価に近い数字まで戻ることが予測できます。

IoTを軸とした新規事業の展開は新たな成長のエンジンになるか

上記で算出した理論株価はあくまでも目安の数字となりますが、それでも今後業務停止処分にならず本格的に営業再開となれば株価の復活も十分に考えられます。

ただ、株価が復活するためには新規事業の展開も重要なポイントとなります。

TATERU(タテル)のIoTを軸とした新規事業は、新たな成長に向かうためのエンジンになり得るのか、考察していきましょう。

大手IT企業の戦略と転換

5月に開催されたソフトバンクグループ株式会社の2019年3月期決算説明会の中で、代表取締役会長兼社長を務める孫正義氏は、ソフトバンクグループの株主価値を増やしていくために『ソフトバンク・ビジョン・ファンド』を立ち上げ、企業の成長エンジンとしていくことを発表しています。

具体的に以下の3つの特徴を挙げています。

参考URL:AI起業家集団でさらなる成長へ ーソフトバンクグループ株式会社 2019年3月期 決算説明会レポート – ITをもっと身近に。ソフトバンクニュース

・AIに特化している
・ユニコーン企業への投資に特化している
・AIとユニコーンへの投資でシナジーを創出しやすい

AIはこれまで広告業界や小売業界に多大な影響を及ぼしてきましたが、ソフトバンク・ビジョン・ファンドでは幅広い産業を革新するためのAIに投資することを掲げており、IoTで集積されたビッグデータを活用して事業を成長させていくと説明しています。

また、AIから二次曲線で株主価値を上げていくAI起業家集団への投資を実施し、あらゆる産業の動きを活発化させようとしているのです。

孫正義氏は“ソフトバンク・ビジョン・ファンドは私の情熱の97%を占めている”とも発言しており、かなり力を入れていることが分かります。

また、これまで製造業として歩んできたトヨタ自動車も、製造業ではなく今後はモビリティサービスカンパニーへの転換を考えていると社長自ら語られています。

モビリティとは、モバイルを活用したワークスタイルを指しており、例えばこれまで会議の資料を紙からデータに移行したり、タブレットを活用した働き方にしたりするなどを言います。

トヨタのモビリティサービスというのは、IoTやAIなどを活用した上でプラットフォームを築き、顧客に適切で効率的なサービスを提供するというものです。

具体的に言えば、カーシェアサービスの先行実験を開始したり、トヨタ車の月額定額サービスを実施したりするなどが挙げられます。

トヨタの副社長を務める友山茂樹氏はモビリティサービスカンパニーへの転換について、自動車産業はこれまで“作って売る”ビジネスを続けていたが、現代は“使ってもらう”ビジネスに変わりつつあると語っていました。

参考URL:トヨタ、モビリティ・カンパニーの鍵を握る「モビリティサービス・プラットフォーム(MSPF)」 – Car Watch

ネットリサーチ会社が行った調査によると、世帯で自動車を所有している世帯が2010年の調査では81.9%だったものが、2019年の調査で75.3%に減少していることが分かっています。

しかも新車は年々減少しており、中古車は若干増えている結果になっています。

このことから、近年は新車を発売してもなかなか売ることができず、トヨタを含めた自動車メーカーは様々な対策を行っていく必要があるのです。

そのためトヨタはいち早くモビリティサービスカンパニーへの転換を決めています。

参考URL:自動車の世帯所有率、減少傾向が続く レンタカーやカーシェアで「デートOK」は46%に:MONEYzine:資産運用とお金のこと、もっと身近に

ソフトバンクやトヨタなど、国内の大手企業がIoTやAIに対し投資していることが分かりましたが、実は世界を牛耳っているとも称されるGAFA(Google・Amazon・Facebook・Apple)でも積極的にIoTやAIへの投資を行っています。

ITからIoT、AIの時代へ

現在、国内のインターネットトラフィックは年々増加しており、2017年の固定ブロードバンドサービス1契約者当たりのトラフィックは9,559Kbpsにまで増加しています。

これは、前期に比べて39%も増加していることが分かっています。

参考URL:株式会社三菱総合研究所資料(インターネットトラヒックの現状)

このトラフィックの増加に連動するようにソフトバンクの企業価値も年々上昇しており、上記でもご紹介したように二次曲線的にIoT・AI産業が多くの企業からの投資によって成長していくことは誰の目にも明らかです。

不動産業界はこれまで建物や土地の売買など、1つの業種に囚われてしまっていましたが、トヨタのようなモビリティサービスカンパニーへの転換も今後考えていかなくてはならないでしょう。

不動産業界とIoT・AIが組み合わさっていくことで、顧客により良いサービスの提供、作業の効率化などのメリットを企業側が得られるのです。

IDC Japanの調査で国内IoT市場の規模が2017年から年間平均15.0%で成長していき、2022年の支出額が11兆7010億円になる見込みだと発表されました。

参考URL:2022年のIoT市場規模は11.7兆円、スマートホームやスマートグリッド普及でソフトウェア/サービスがけん引――IDC調べ – ITmedia エンタープライズ

また、JTB総合研究所によると2018年の訪日外国人総数は31,191,856人であり、観光庁からは2020年に4,000万人、2030年には6,000万人の訪日外国人旅行者数を目指すとの目標も出ています。

2019年1月~4月にかけての累計値で既に1,0980,461人を記録(※JTB総合研究所より)しており、2020年の目標値を2019年でクリアしてしまいそうな勢いです。

参考URL:訪日外国人動向2019 – 観光統計 – JTB総合研究所
参考URL:観光庁資料(次世代ヘルスケア産業協議会第10回新事業創出WG)

TATERU(タテル)ではIoTを取り入れた新たな事業として、宿泊事業にも力を入れています。

そのため、TATERU(タテル)の新規事業は将来的に大きく発展していく可能性があると考えられるでしょう。

TATERU(タテル)は不動産業界の中でもいち早くIoTを取り入れてきた企業です。

どのような処分が下ってしまうかはまだ分かりませんが、動向に注目していきましょう。