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【緊急インタビュー】TATERU(タテル)に業務停止命令。今後の行方は?

先日、一部メディアから衝撃的な報道があった。

東証一部上場のTATERU(タテル 1435)に対して国交省は業務停止命令を行うことを決めた

アパートの施工、管理を手がける東証1部上場のTATERUが、建設資金の借入希望者の預金データを改ざんしていた問題で、国土交通省は同社に業務停止命令を出す方針を固めた。預金残高を実際より多く見せ金融機関の審査を通りやすくしていた。国交省は会社ぐるみで改ざんし、不正が全国に広がっていることを問題視し、行政処分に踏み切る。

TATERUに業務停止命令へ 融資資料改ざんで国交省処分 – 日本経済新聞

TATERUはスマホのアプリで誰でも簡単に不動産投資ができるビジネスモデルで急成長を続けてきた。

しかし昨年8月、融資に際し金融機関に提出する顧客の審査資料を改ざんしていたことが判明し、一気に株価が暴落した。

今回は学生時代からフリーランスでITコンサルタントとして活躍、その後新卒で事業会社の子会社代表取締役に就任、現在は永田町、霞が関に出入りする傍ら情報収集に奔走し、政治経済や選挙にも造詣が深いA氏に直接インタビューを行うことが出来た。

株価が10分の1になった理由

―TATERU(タテル)の株は一時2,000円を超える優良株でしたが、今は200円前後にまで下がっています。なぜこんなに株価が下がったんですか?

ご存知の通り、TATERU(タテル)は2018年8月末に一部報道で顧客の融資審査を通す際に不正があったことが判明しました。

会社としての対応は比較的早く、その日のうちにリリースが発表されています。

本日、日本経済新聞電子版により、当社従業員が顧客から提供を受けた預金残高データを改ざんし、実際より多く見せて西京銀行に提出し、融資審査を通りやすくしていたとの報道がなされておりますが、本件に関しては、誠に遺憾ながら、そのような事実がございました。

本日の一部報道について – TATERU(タテル)公式サイト

TATERU(タテル)は、スマホアプリで簡単に不動産投資ができるとしてサラリーマンを中心に人気が高まっていましたが、彼らが土地や不動産を購入する際には当然自己資金だけでは足りず、銀行から融資を受ける必要があります。

西京銀行はTATERU(タテル)を通じて彼らに融資を積極的に出していましたが、その審査に使われていた銀行の預金残高の通帳データなどが改ざんされていたのです。

報道内容に関して同社は異議を唱えることなく、すぐに事実として認め、第三者の調査委員会を立ち上げています。

弁護士を中心に構成された調査委員会では、主にデジタル・フォレンジック調査とヒアリング調査によって不正の実態を明らかにしています。

デジタル・フォレンジック調査とは

フォレンジックとは「法廷の」という意味が含まれております。すなわち、デジタルデータ(パソコン・スマホの保存ファイルやメール・チャットなどの送受信内容)から法的な証拠を見つけるための調査のことを指します。この調査には専門知識とノウハウが要求されます。

結果、営業部長及び部長代理を中心とする合計31名がデータ改ざんに関わったとされ、調査対象全2,269件の中でデータ改ざんがあったと認められたのは350件、すなわち約15%の案件において改ざんが行われていたことが明らかになっています。

急成長を続けるTATERU(タテル)の内部では、成長を追い求めるあまり、営業部長が中心となって従業員にプレッシャーを掛けていたことが想像されます。

結果として、それが一部従業員の暴走を招いたということでしょう。

これに関しては経営陣は関与していなかったとされており、全体の約15%の案件という限定的な範囲でしかデータ改ざんが行われていなかったことからも、営業部が自らの成績をよく見せるために行っていたのだろうと想像できます。

融資をしていた西京銀行もデータ改ざんについては関与していなかったものの、その後は都市部の融資を中止することを発表し、TATERU(タテル)とは距離を置いています。

これまでTATERU(タテル)の成長は、顧客に融資をしてくれる西京銀行の存在に助けられていたことになりますから、融資の中止は大きな痛手になります。

事実、そこからTATERU(タテル)の成約数は激減し、ピーク時は四半期で255件だったものが、2018年12月期4Qには8割以上減少し、35件にまで落ち込んでいます。

こうした流れの中で、今後の先行き不安から株価は下落し続け現在の200円前後にまで落ち込んでいるということです。

3年で成約数は3倍。圧倒的な成長

―そもそもTATERU(タテル)という企業はなぜ急成長しているのでしょうか?不動産投資というのは何も新しいビジネスのようには感じないのですが…

不動産投資、という意味では特に目新しさは無いと言っていいでしょう。

TATERU(タテル)は元々地元の不動産業者としてスタートしています。

その後、株式会社インベスターズ株式会社インベスターズクラウドと社名を変更し、現在の株式会社TATERU(タテル)になっています。

当時まだ珍しかったインターネットを使った集客というところに目をつけて成長したTATERU(タテル)ですが、徐々に普及し始めていたスマホに注目し、スマホ一台で不動産投資を始めることが出来るTATERU Apartment事業を開始します。

今では副業としてサラリーマンや公務員に人気がある不動産投資ですが、当時はまだアナログな部分が多く、副業として行うには敷居が高いものでした。

しかし、土地選びからアパートのデザイン設計、更にはアパート建築後の賃貸管理までがスマホ一台で出来るということで、彼らから非常に人気を集めることになり、急成長を遂げます。

2015年は四半期で86件だった成約数はその後右肩上がりで成長を続け、ピーク時の2018年には約3倍の255件にまで増加します。

TATERU Apartmentの成約数は86件から255件と約3倍にまで右肩上がりで成長を続けていた

 

このように顧客にとって有益なサービスを提供していたTATERU(タテル)ですが、実は投資家にとっても高い評価を受けるビジネスモデルでもありました。

その理由は、土地や不動産などの在庫をほとんど抱えることなく、不動産業界においては経営リスクが圧倒的に低かったことです。

従来の不動産のビジネスモデルでは、販売用の土地や不動産を仕入ることは当たり前のように行われてきました。

しかし、アプリで土地や不動産のマッチングを行うTATERU(タテル)のビジネスモデルにおいては仕入れが不要だったのです。

このように無駄な在庫を抱えることがないビジネスモデルは投資家にとっても魅力的で、株価という形で高い評価を得ていました。

実際に2017年12月期のROA、ROEはそれぞれ約36%、約51%という驚異的な数字を記録しており、全国上場企業の中でも11位、10位にランクインしています。

順位証券コード銘柄名使用総資本経常利益率(%)業種決算期
17176SFH58.0%その他金融2018/03
22371カカクコム53.5%サービス2018/03I
33092ZOZO51.8%小売業2018/03
43765ガンホー51.6%サービス2017/12
53808OKウェイヴ47.1%サービス2018/06
63932アカツキ46.8%サービス2018/03
74431スマレジ42.7%サービス2018/04
82127日本M&A41.2%サービス2018/03
92121ミクシィ39.4%サービス2018/03
102124ジェイエイシ38.7%サービス2017/12
111435TATERU35.8%建設2017/12

ROAランキング – 日本経済新聞

順位証券コード銘柄名自己資本利益率(%)業種決算期
17672タカネット123.2%商社2018/05
26336石井表記63.5%機械2018/01
37176SFH62.3%その他金融2018/03
43092ZOZO57.4%小売業2018/03
54431スマレジ55.4%サービス2018/04
67033MSOL55.1%サービス2017/10
73856Aバランス53.2%電気機器2018/06
83808OKウェイヴ52.7%サービス2018/06
94422VNX51.9%サービス2018/07
101435TATERU51.3%建設2017/12

ROEランキング – 日本経済新聞

ZOZOTOWNを運営するZOZOや価格.comを運営するカカクコム、スマホゲームではおなじみのガンホーなどが名を連ねるランキングに肩を並べるほどですから、当時の投資家の熱狂ぶりは伝わることでしょう。

他の企業と比較すると分かりますが、TATERU(タテル)は単なる不動産会社として成功したのではなく、IT企業として成功した企業であることが分かります。

今でも創業者が約半分の株を保有しているオーナー企業ですから、そういった意味では時代の流れを素早く捉え、適切な業態変化を続けることが出来ている企業であると言えます。

自己資本比率は57%。返済能力にも問題なし。

―優秀なビジネスモデルで成長を続けたTATERU(タテル)ということですが、一部の投資家の間では近い内に倒産するとの声も聞かれます。

色々なリスクを検討することはとても意味があり、その意味で倒産の可能性について考えることはとても重要なことでしょう。

投資家にとって倒産は最もリスクが大きく、持っている株式の価値がゼロになってしまうのですから。

しかし、現時点で倒産の可能性について触れるのは正直ナンセンスだと思っています。

ある程度の財務分析ができるアナリストの間では倒産するという話はまず聞かないです。

例えば直近の四半期決算から流動比率を算出すると約214%と、慎重すぎるとも言えるほど安全圏内です。

ちなみに、すぐに現金化することが難しい販売用不動産などを差し引いた当座比率においても約94%と安全圏内にいます。

単位:千円流動資産当座資産流動負債比率
流動比率24,227,97911,311,245214%
当座比率10,582,36811,311,24594%

 

自己資本比率においても2018年12月期決算が71%で、直近の四半期決算を基に算出すると57%と推移しています。

こちらも40%を超えていれば優秀と言えますので、問題ないと言えます。

単位:千円自己資本(純資産)総資本自己資本比率
2019年12月期1Q決算16,820,25729,485,10157%
2018年12月期1-4Q決算22,881,48932,449,57871%

 

では、どこまで株価が下がる可能性があるか、という話ですが、PBRから算出する理論株価はおおよそ189円前後です。

業務停止命令発表後、底値が割れて180円台を推移していますが、正直これ以上下落するとは考えづらいでしょう。

本当の意味で底値に到達したと言えます。

1株当たり純資産(PBR)は、いわば企業の(帳簿上の)解散価値といえますから、PBR=1倍は、株価とこの解散価値が同じ水準と判断されます。

PBRが1倍を大きく下回らないということは、ほとんどの投資家は倒産のリスクを想定していないといえます。

単位:千円/千株純資産発行済株式数1株あたり純資産PBR(1株185円の場合)
PBR16,820,25788,767189円0.98倍

 

ITエンジニアの数は2年間で3.6倍に

―なるほど。倒産しないことは分かりましたが、業務停止命令まで受けたTATERU(タテル)が今後復活する可能性はあるんでしょうか?

これも良く質問をいただきます。

 

TATERU(タテル)の株を保有している人は短期売買を目的としており、マネーゲームに陥っていると。

ある種、この分析は正しいとも言えるでしょう。

少なくとも短期売買を目的として株を保有している投資家はいるはずです。

 

しかし、TATERU(タテル)の株を短期売買目的で買うことはあまりおすすめしません。

というのも、初心者や中級者にはあまりにも判断が難しすぎる銘柄だからです。

 

それよりも私がおすすめするのは中長期的な保有です。

これはすなわち、TATERU(タテル)が中長期的に見ると復活するということを意味しています。

 

先程申し上げたように、TATERU(タテル)は不動産会社として成功しているのではなく、IT企業として成功しているのです。

今回のデータ改ざん問題はあくまで、不動産投資における融資審査の過程において発覚した不祥事ですが、全体を俯瞰してみるとTATERU(タテル)のビジネスモデルに致命的なダメージを与えるものではありません。

例えばTATERU Apartmentで特徴的だったIoTアパートメントの技術はRobot Homeが引き続き開発を進めており、Apartment kitという形でIoT賃貸経営プラットフォームを提供しています。

これは何もTATERU Apartmentだけにしか導入できないものではなく、新規もしくは既存のアパートメントにも導入することが可能になっています。

実際にTATERU(タテル)は2015年12月末で21名だったITエンジニアを2017年12月までに約3.6倍の77名に増やしています。

社員の構成比も9.9%から22.1%に増加しており、同社が技術者の確保に注力していることがよく分かります。

TATERU(タテル)ではITエンジニアの数を増やしている

 

現在は直近で社名変更をしたTABICT(旧:TATERU bnb)を始め、IoT技術を宿泊事業などの他事業に応用しようとしています。

不動産投資についてもクラウドファンディング事業であるTATERU Fundingを立ち上げて小口投資家を収集できるプラットフォームを開発しており、銀行からの融資がなくても資金を集めることが可能です。

このように既存の稼ぎ柱であったTATERU Apartmentはかなりの痛手を負ったものの、これまで培った技術力を活かすことによって今後の復活は十分可能でしょう。

それを裏付けるかのように、5月27日株式市場が動いています。

その日は前週末の30%高を付ける局面があり、売買高も750万株余りに到達しています。

これは前週末の約6倍です。

5月27日のチャートを確認すると、株価・取引高ともに急激に上昇している

 

原因は施工不良問題で株価が急落していたレオパレス(8848)が旧村上ファンド系の投資会社の買い増しなどをきっかけに連日で急伸していることです。

この一件を受けて、TATERU(タテル)にも、レオパレス株で利益を得た投資家の資金が流入するとの思惑が広がっています。

個人の投資家だけでなく、機関投資家もTATERU(タテル)に注目しており、買い時を窺っています。

これはあくまでも仮定の話ですが、投資の神様であるウォーレン・バフェットが用いるDCF法で簡易的に同社が好調期だった当時の理論株価を算出すると、約698円になります。

ちなみに、当時の四季報(2018年3集夏号)が出していた業績予想で計算すると約1,087円になります。

TATERU(タテル)に残された技術力をどこまで評価するかにもよりますが、最低でも現在の180円台では明らかに割安すぎます。

どこかで機関投資家が一気に買いに動く可能性もあるでしょう。それは、今回の業務停止命令が落ち着き、悪材料が出尽くした今後数週間の間に行われるかもしれません。

【参考】今回用いたDCF法の計算式

(事業価値+財産価値-負債-非支配株主持分)÷発行済株式数
事業価値=営業利益×0.6(実効法人税率 税引)÷0.06(期待収益率)
財産価値=流動資産-(流動負債×1.2(上場企業の流動比率平均))+投資その他の資産

営業利益58億(当時の四季報が予想した2019年12月期営業利益は83億)、流動資産155億、流動負債105億、投資その他の資産28億、負債(固定負債)16億、非支配株主持分1億

※各指標は2017年12月期決算短信を参考にしています。

株価は400円~800円になる可能性も

―結論TATERU株は買っておいて損は無いということですか?

もしTATERU(タテル)の株を買っておこうと思っているのであれば今がいいと思います。

これまでにも述べた通り、TATERU(タテル)はすぐに倒産する可能性が低く、価値がゼロになる可能性はかなり低いです。

また、潜在的な技術力を持っているので、機関投資家などから資金が流入すれば株価は上がっていく可能性も高く、その動きは今後数週間から数ヶ月の間に行われることになるでしょう。

企業価値から判断するに控えめに言っても400円~800円の値段が付いてもおかしくないです。

底値を付けている今が大きなチャンスになっていると言えるでしょう。

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