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フジ住宅裁判の真相に迫る!ヘイトハラスメント?訴訟を徹底検証

今回は、フジ住宅が起こされた裁判についてご紹介します。
フジ住宅と会長は社内で配布した文書に関する問題で、従業員の在日コリアン女性に損害賠償を求める裁判を起こされました。
そして二審判決により会社側と会長は敗訴の判決が確定しています。
しかし、フジ住宅側は最高裁に上告し、改めて是非を問う方針です。
果たして本当に「ヘイトハラスメント」はあったのか?
この記事では、訴訟を起こされた経緯から高裁判決の要点まで、フジ住宅裁判の真相について解説していきます。

フジ住宅裁判|フジ住宅とは

フジ住宅株式会社は大阪・兵庫・和歌山を中心とした近畿圏で、不動産事業を手掛ける会社です。
現代表取締役会長の今井光郎氏によって1973年1月に創業し、翌年の4月に会社が設立されました。
大阪府岸和田市に本社を構え、大阪県内と和歌山市、西宮市や神戸市に合計11箇所の支社やオフィス、営業部などがあります。
また、100%出資子会社のフジ・アメニティサービス株式会社と共にグループ企業を形成しています。
従業員の規模はパート社員を含み948名(連結1245名)、資本金48億7,206万円と大規模な会社であり、東証1部にも上場しています。
手掛ける事業は、分譲住宅・マンションの開発や販売から注文住宅・建て替え、中古住宅・マンションの販売、賃貸物件や分譲マンションの運営・管理受託、土地有効活用まで幅広いです。

フジ住宅裁判|背景と経緯

フジ住宅が、子会社で非正規として雇用されていた従業員の女性から訴訟を起こされたのは2015年のことです。
訴訟から約5年後の2020年には第一審の訴訟判決が言い渡され、フジ住宅側と同社会長に対して計110万円の支払いを命じる判決が下されました。ここでは、訴訟に至った原因から判決までの経緯を詳しくご紹介します。

原告側が問題意識を持ったきっかけ

原告側は2008年頃にフジ住宅社内で社員の一般的啓発を目的に配られた文書に対して「戦前の日本の帝国主義を肯定するような書物」であるとの印象を持ったようです。
この時点では、原告側の女性は「業務と関係ないのになぜ?」と思う程度の認識でしたが、
これ以後も同様の資料が継続的に社内で配布されたことで、次第に不快感を覚えます。
そして2013年5月に、同じく社員教育用の資料として日本教育員組合について言及した漫画作品のコピーが配布されますが、原告側の女性はこの配布に対して、更に強い嫌悪感と不快感を露わにします。
また、2013年から2015年にかけて特定の教科書を採択させるための運動に従事させられたと主張しています。

2015年に提訴

2015年1月に、原告側の女性はフジ住宅の会長と社長に対して、弁護団を通じて資料配布をやめるように申し入れます。
しかし、資料配布を辞めようとしていないと判断したため、同年3月に大阪弁護士会に人権救済の申し立てを行いました。
そこで会社側は300万円の支払いを引き換えに、退職の提案をします。
退職勧奨に関してフジ住宅は、「フジ住宅の社風自体が女性にとってストレスになっている」と考え、勤務を継続しても現状は変わらないと思い、退職も選択肢の1つとして提案したそうです。
その提案に納得できなかった女性は同年8月に会社と会長相手に3300万円の損害賠償を求める訴訟を起こしました。

2020年に判決

2020年に大阪地裁は一審判決を下し、フジ住宅及び今井会長に対して原告へ110万円の賠償を命じ、一審では原告側の女性の勝訴となりました。

一審判決から控訴審の二審判決が下るまで

原告側の女性は、一審での敗訴を受けて、資料の配布中止を期待していたようですが、一審判決後も資料配布が続いたため、2020年11月に資料配布の差し止めを求める請求を大阪高裁に追加します。
控訴審では2020年12月に進行協議は行われ、2021年1月から7月にかけて足掛け4回にわたる口頭弁論期日が設けられました。
そして、2021年11月12日に開かれた控訴審の二審判決で、フジ住宅及び今井会長に対し、「原告側の女性に対し110万円から132万円に増額して賠償する」ように言い渡され、再び原告側の勝訴判決となりました。

フジ住宅裁判|フジ住宅が資料配布を続けた理由

訴訟を提起された後もフジ住宅では、資料の配布を継続していました。それはなぜでしょうか。資料配布に関してフジ住宅側は以下のように主張しています。

当社は「社員のため 社員の家族のため 顧客・取引先のため 株主のため 地域社会のため ひいては国家のために当社を経営する」ことを長らく経営理念としております。当社にとって「家」とは「家族をはぐくむゆりかご」であり、家庭における家族の幸せが地域社会そして国に、富士山の裾野のように広がっていくことを願って、その基盤となる住宅をお客様にお届けしております。また「顧客満足度日本一」を標榜して全社員が日々お客様に真心を込めた対応を行うよう日々研鑽しております。
 その目標を担う人財育成のため、創業者である会長今井光郎より、社員の一般的啓発を目的として、ビジネス書にとどまらず、道徳、歴史、教育や子育て、政治・経済問題、健康、医療などに関する多岐にわたるテーマの一般的な書籍や文書等が参考資料として配布されております。

あくまでも配布している資料は研鑽のためのものであり、人材育成の一貫であるとの主張です。

社員の一般的啓発を目的として、ビジネス書にとどまらず、道徳、歴史、教育や子育て、政治・経済問題、健康、医療などに関する多岐にわたるテーマの一般的な書籍や文書等が参考資料として配布されております。
それらの中に勧告が対象とする日韓や日中の歴史認識論争をテーマとするものが含まれていました。ご承知のとおり、現在の国際情勢のもと、主として中国や韓国からの日本や日本人への政治的批判や反日的政策が問題となっています。配布した記事等は、著名な政治家や評論家、全国紙や雑誌の記者等がそれらの動きに反論し、日本人としての誇りと日本の国益を守ろうとする政治的主張を展開しているもので、その一部に中韓国民の国民性等を批判した表現が含まれていました。会長による資料配布の趣旨はそれら保守的政治主張の紹介にあり、社内における特定の民族・人種の侮蔑や差別的意識の醸成などを意図したことは全くございません。

つまりヘイトハラスメントの意図は全くない、との主張です。

また、「社内では一定の資料配布を望まない者はその旨を申告すれば配布対象から除かれる扱いをとっており、全員配布の参考資料については読まずに廃棄することも自由としている」とも主張しています。
まるで強制されたかのような報道が多いですが、あくまでも配布した資料を読むか否かは本人に任されていたようです。

参照サイト:https://www.fuji-jutaku.co.jp/blog/?year=2019

フジ住宅裁判|高裁判決での指摘

高裁判決でフジ住宅は、以下に関して指摘されています。

  • 人種差別資料を大量かつ大量かつ反復継続的に配布する行為
    フジ住宅側は人種差別の意図は全く無かったと主張していますが、この行為は職場で人種差別を煽動する効果を有すると判断されました。
  • 原告を非難等する資料を配布する行為
    原告を含んだ全従業員に配布した資料の中に、原告女性に対して侮辱や身体的な攻撃を示すと誤認されるような内容を記載した文章が含まれていたようです。
    フジ住宅側は本件に関しても人種差別の意図を否定していますが、裁判は匿名で始まったので原告女性個人の明確な特定にはなっていないものの、原告が誰か薄々気付いていた従業員も少なからずいたと、原告側は感じていたようです。
    そのため原告女性に対する一連のフジ住宅社内での行為は、裁判のことを従業員に広く周知させ、原告に対して強い疎外感を与えて孤立させ、抑圧したと判断されました。
  • 特定の教科書の採択アンケートの動員行為
    この行為に対してもフジ住宅側には参加を強制する意図を否定しています。
    しかし、参加の任意性が十分に確保されている必要があるという点から違法性が認められています。

フジ住宅裁判|高裁判決の要点と注意点

ここまでフジ住宅裁判の一連の流れを見てきましたが、ここからは高裁判決で下された判決の要点や問題点について解説します。
高裁判決では原告勝訴となりましたが、違法性が認められなかった点や配慮が必要であった点がいくつかあるのでご紹介しましょう。

高裁判決の要点

今回の判決での本当の論点をまとめてみると、

  • 会長による資料配布の趣旨は保守的政治主張の紹介にあり、社内における特定の民族・人種の侮蔑や差別的意識の醸成などを意図したことではなかった
  • 資料の配布そのものに問題はなかった
  • だが、特定の人種や民族を貶めると勘違いされるような表現・コメントを塗りつぶす等せず、そのまま配布してしまったことに問題があった
  • 大阪高裁は「メディアの報道は不適切である」と判決文で言及していた

正当な評論だと思われる文書を配ることは自由であり、違法性もありません。

また、大阪高裁はメディアの報道に対して不適切だと判決文で言及しています。
メディアはフジ住宅が原告本人を差別的に取り扱ったような印象を強く与える報道をしていました。
しかし、報道が不適切であるという言及に関してメディアは一切報道しておらず、フジ住宅側の完全敗訴の形で印象は広まっています。

実際は社内で配布された全ての文書が不適切だったわけではなく、差し止めが認められたのは不当な表現やコメントが記載された文章のみであり、原告側の主張すべてが認められたわけではありません。

判決の注意点

一連のフジ住宅社内で配布されていた資料の中でも、とりわけ問題視されているYouTube動画のコメント欄に記載された特定の人種・民族を貶めるような文言については、フジ住宅とは全く無関係の第三者が書き込んだものです。

判決では、そうした「不当な文言・コメントが記載された文章をそのまま配っていたこと」が問題であったとされているだけであり、フジ住宅がそのようなコメントを発信したという事実はないということです。

また、配布資料の中には産経新聞の記事や識者による評論も多数並べられていたことから、
大阪高裁は、こうした文章は、「原告女性を念頭に置いて書かれた文書ではない」として、社内での差別的行動だとは認めておらず、「配布そのものにも問題はない」と判断を下しています。
とは言え、特定の国に対する嫌悪感情を抱かせるような職場環境の配慮を怠った行為が、原告女性に職場での差別を受ける可能性があるかもしれないという危惧を抱かせて当然という考えから、一部資料の差し止めは認められるという結果になりました。

フジ住宅裁判|まとめ

高裁までの判決ではフジ住宅側の敗訴となりました。
人種差別であると勘違いされるような文言や、従業員の感想文のうち原告を攻撃する文言をそのまま使ってしまったことが敗訴の原因となっています。
しかし、フジ住宅側が一方的に全て悪いとは言い切れず、高裁は原告女性を念頭に作成された書類ではないことを考慮し、一部資料のみの差し止めという判決を下しました。
フジ住宅は判決を不服として、最高裁まで上告する方針を示しているので裁判の終結はまだまだ先となるようです。
フジ住宅敗訴の事実はメディアによって少し捻じ曲がって伝わってしまっている部分もあり、企業のイメージを大きく損ねる要因になっています。
情報を集める側もメディアの発信を鵜呑みにせず、どこまでが事実なのか、何が問題なのか正しく理解していく必要があるでしょう。